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OFケーブルの部分放電測定

従来、OFケーブルは内部に封入した絶縁油を採取し、分析することでOFケーブルの劣化状態を診断してきました。しかし、負荷変動などによるケーブル温度変化に伴い絶縁油が対流することから、ガス分析では劣化した油を確実に採取することが難しいと言うことが報告されています。
このため、より正確な劣化診断を行うために部分放電測定を行っています。

What is OF Cable?

図:地中送電線(道路下に敷設されているCVケーブルとOFケーブル)

地中送電線には主にプラスチックで絶縁を保つCVケーブルとクラフト紙で油で絶縁を保つOFケーブルがあります。地中送電線は普段私たちが目にすることがない道路の下などに埋設されており、発電所~変電所間や変電所~変電所間に電気を送る役割を担っています。

OFケーブルの構造

OFケーブルは、中心から順に油通路、導体(電気が流れる電線)、絶縁油に浸した絶縁紙、油を封入するための金属(アルミ)シース、腐食防止のための防食層で構成されます。

図:OFケーブルの断面図

部分放電とは

OFケーブルは絶縁紙を何層にも巻いてありますが、紙と紙の間には小さな隙間があり、空隙欠陥等(欠損・材料の不近一)に電圧がかかると、放電が起こります。小さな空隙欠陥では比較的低い電圧で放電をはじめますが、導体と大地を短絡する放電には至りません。このように絶縁物中の空隙欠陥で発生する局所的な放電のことを「部分放電」といいます。部分放電が発生すると絶縁体が劣化し、長時間後には絶縁破壊に至ることがあります。

  • 図:絶縁紙の空隙欠陥(欠損・材料の不均一)

  • 図:部分放電発生から絶縁破壊までの過程

部分放電の測定概要

OFケーブル内部で部分放電が発生すると接地線を介して金属シース(誘導電流を大地に流し、感電を防止するためのもの)と大地の間に微弱な電流が流れます。部分放電測定ではその微弱な電流を検出して、OFケーブルの劣化診断を行っています。
部分放電測定は、信号波形を観察しながらOFケーブルの劣化状態を診断します。また、後日測定したデータ(波形の形・大きさなど)から劣化の進展度合いや発生個所を解析します。

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