技術情報 TECHNOLOGY
地中送電線シールド・推進設計
当社では、電力輸送設備の地中送電線建設に伴う調査・測量~設計を実施しています。都市部での大規模地中送電線建設は、シールド洞道が主体です。
当社では、シールド洞道仕上がり内径φ2.2m~4.0mの設計実績があります。
シールド設計の実績表
実績 | シールド内径 | 亘長 | シールド工法 | セグメント形式 |
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220kv A線 |
φ3.0m | 1.30km | 解放型半機械式 (圧気工法) |
RCセグメント (2次覆工有り) |
220kv B線 |
φ4.0m φ3.0m |
1.54km 5.31km |
岩盤対応型 泥水加圧式 シールド工法 |
RCセグメント (2次覆工有り) |
220kv C線 |
φ3.0m | 1.93km | 土圧式 シールド工法 |
RCセグメント (2次覆工省略) |
132kv D線 |
φ2.2m | 1.01km | 泥土圧式 シールド工法 (複合地盤対応) |
STセグメント (2次覆工有り) |
132kv E線 |
φ2.2m | 0.66km | 泥土圧式 シールド工法 |
合成セグメント (2次覆工省略) |
シールド洞道設計面での当社の取り組み
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- 1
- シールド洞道の中間には、ケーブル接続用の広いスペースが必要です。従来は、中間立坑を地上から掘削していました。B線の設計業務では、接続部拡幅工法として、NATMを駆使して内部から切り広げる工法に取り組み、コスト低減に寄与しました。
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- 2
- C線の発進立坑は、床付けがGL-23mと深く、地盤は砂礫でありボイリング等の懸念がありました。土留め・締切り設計では、連続壁工法を用いて、土留め壁の本体利用を計画することで、コストを縮減しました。また、円形立坑を採用することで、支保工材を少なくし、かつ施工性が向上しました。
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- 3
- シールド掘削外径を縮小する為の2次覆工省略において、セグメント高とシール材の選定、並びに継ぎ手形状の検討を実施しました。
電力用長距離多曲線推進設計事例
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平成16年度に計画したF線は、亘長6.2kmの全線地中埋設の送電線路です。計画ルートには、鉄道・河川等の特殊横断箇所があり、推進による施工は4箇所、総推進延長は約1.5kmになりました。特に、A-MH~B-MHにおいては、以下の理由などにより、当社でも最長となる660m(当時550mが最長)の区間を多曲線(9カーブ)推進で設計を行いました。
- (1)重要横断箇所(JR、国道)や多数の既設埋設物を通過する。
- (2)B-MH側は狭隘な道路であり、周辺は多数の住宅がある。
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概要図
[平面図]
[縦断図]
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推進工法の選定
推進工法として、土質に礫が含まれていることから泥水式は排泥面から適用は好ましくないと判断しました。また、JR軌道下を横断することから地盤変状を抑制でき、切羽及びテールボイド(余堀り)部の安定性に優れ、管外周抵抗値が小さく低推力を実現できる泥濃式推進工法を選定しました。
今回の長距離推進に伴う工法選定にあたっては、- (1)元押推進力の制限(600tf)
- (2)推進中の地盤の安定確保
- (3)複合曲線での推進精度の維持
等を重点的に検討した結果、長距離推進及び曲線推進の実績が多い泥濃式掘進機とテールボイド拡幅再構築装置(TailVoid Restructuring System以下TRS装置という。)を適用した推進工法を採用しました。
TRS装置は、推進するヒューム管の途中(150m間隔程度)にセットし、推進途中で劣化したテールボイドを再構築するために、排土板を外周面に突き出し、ヒューム管と既設のテールボイドの隙間に泥水材を注入し新しいテールボイドを構築する装置です。テールボイド再構築装置採用による長距離推進工法を採用したことでコスト低減が実現でき、また環境面への影響を最小限に抑制できました。