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腐食マップの作成

架空送電線の腐食の主要因は、「海塩粒子」、「SO2汚損量」、「ぬれ時間」とされていますが、四方を海に囲まれ、また湿度の高い日本の送電線では、「海塩粒子」と「ぬれ時間」の影響が大きいと考えられています。
当社では、気流シミュレーション技術を応用して「海塩粒子拡散マップ」を独自に開発し、GIS上でマップ化しています。また、「ぬれ時間」についても、気象官署や送電設備での温度・湿度の観測データを解析して、精度の高い「ぬれ時間マップ」を作成しています。
2つのマップから得られたデータと、撤去電線の劣化診断から得られた腐食速度との相関を分析すれば、電線の腐食速度に対する「海塩粒子」と「ぬれ時間」のそれぞれの影響度が想定できます。
想定した「海塩粒子」と「ぬれ時間」の影響度を合成することで、「送電設備腐食マップ」となり、最終的には送電設備の寿命マップとすることも可能で、設備更新計画が効率的に策定できます。

腐食影響度に応じて合成
  • 海塩粒子拡散マップ

    気流シミュレーション技術を用いて解析した海塩粒子拡散マップの事例

  • ぬれ時間マップ

    気象官署や送電設備での温度・湿度の観測データを統計解析して作成した、ぬれ時間マップの事例

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電線腐食マップ

「海塩粒子」と「ぬれ時間」の影響を合成して作成した「送電設備腐食マップの事例」

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設備寿命マップ

引用文献:立木、石田ほか「各種の要因を考慮した碍子ピン腐食予測」平成19年電気学会 電力・エネルギー部門大会No.220

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